ひと夏の恐怖を【世にも奇妙な出来事Vol.3】
今週のお題「ゾッとした話」
こんにちは、あむです!
今日は一日色々と忙しかったので ⬇️⬇️⬇️
今週のお題から「ゾッとした話」を書いていきたいと思います!
この間もちょっと涼しくなる話を書いたんですが、今回は私の話ではなく、夫くんの話になります!
さて、長い前置きはここまでです!
【世にも奇妙な出来事Vol.3】老舗旅館に巣くう
これは今と同じ、夏の暑さも最盛期を迎えた頃の話。
夫は仕事の関係で、県内のとある場所へと数週間ほど出張があった。その出張先は周辺に飲食店や商業施設などなく、あるのは広大な土地と料理がおいしいと有名な老舗旅館だけだった。
この老舗旅館は県内でもかなり有名な老舗で、建物の古さも指折り、料理の美味さも指折りという旅館だった。
会社の上司とふたりで行っていた仕事も最終日を迎え、無事に仕事が終了したその夜、夫に宛がわれた部屋でふたり、晩酌をしていた。
ふたりは”夏だから”と怪談に興じていたが、話が徐々に盛り上がってきた時、夫は、ある【異変】に気付く。
”ピ”
触れていないはずのエアコンが、夫の頭上で小さく音を立てて、起動したのだ。
「怖がり」を自称する上司は、幸いこの異変に気付いておらず、「怖がらせるまい」とこのことを黙っていることにしたが、さらに時間が経つと、またひとつ、【異変】が起こり始める。
上司の背後にあるふすまが、ゆっくりと、音がしないほどゆっくりと、開き始めていた。
10cmほど開いたところでふすまは止まり、こちらも気付く様子が見えない上司に、夫も知らぬふりをして酌をする。
だがしかし、次の【異変】はそうもいかなかった。
上司のすぐ横手にある、テレビ台にされていたアルミラックが不自然に揺れ始めたのだ。
揺れはどんどん大きくなっていき、仕舞には”パッ”と触れもせずにテレビの電源が入る。
「気付け」と言わんばかりの番組の笑い声が、不気味なほど大きく響いていた。
これにはさすがの上司も、声が出ないほど驚き、「こんな部屋にはいたくない」と足早に自身に宛がわれた部屋へと帰っていった。
残れた夫は”こうした現象”に慣れていることもあったが、夜も更けたこの時間帯に「部屋を変えてくれ」などというのは旅館側に迷惑になることも鑑みて、結局、そのままその部屋で寝ることに。
上司が部屋に戻ったことで、アルミラックの揺れも収まっていたが、部屋の電気を消して布団に入り、目を瞑ると、夫の動きを見計らったかのように【それ】は動き始める。
ミシ……ミシ……ミシ……ミシ……
枕元でずっと【何か】が、彷徨う。
何かを探るかのように、彷徨う。
「起きろ」と言わんばかりに、【何か】が、彷徨う。
努めて目を開けないようにした夫は、寝苦しさと緊張に数時間悩まされながらも、気付けば眠ってしまっていた。
そして翌朝、早めに目覚めてしまった夫は、あらゆる現象が起きたその部屋をくまなく調べて、【あるもの】を見つける。
旅館の避難経路図。
部屋の片隅に必ず掲示してあるその避難経路図を、事も無げに指でなぞり、それを見て、手が止まる。
夫が泊まった部屋の上階、ちょうど、真上に位置するその部屋には、
赤いバツ印が、はっきりと書き込まれていたのだった。
*****
いかがでしたでしょうか。
【世にも】シリーズの中では怖い部類に入るのかな、と思います。
本当は「老舗旅館」に関する他の出来事を書くつもりだったのですが、帰ってきた夫くんに少し話を聞くと、この話が出てきて。
今回のお題である「ゾッとした話」としては良かったのではないでしょうか。
ツッコミどころとしては、「部屋変えてもらえよwww」ということでしたが、エンリョしたんだな。ウンウン。
もう少し「ぞぞ~っと」冷えたい方はこちらもどうぞ
今回の話に余談があるとすれば、これが起こったのは今から7年くらい前のことでしたが、この出来事が起きて約半年後、この旅館が廃業したと知ったそうです。
本当に料理がおいしいと評判で、お昼はお客でにぎわっていたというこの旅館。
コロナとは無縁の時代だったあの時に、何があったのでしょうね……?
それでは今日はこの辺で。
また明日。